
今年度の研究開発のテーマは?
現在、延べ3年間のサポイン事業の3年目で、2年目までにドライ切削(切削液(クーラント)なし)での実験で、熟練者が工具摩耗による交換と判断する地点より先の、切削が可能な工具摩耗限界ギリギリまでの地点を捉えることが出来ていたので、次のステップとして切削液を放出した状態で各種信号の相関関係を明確化できるか、また、検出精度、リアルタイム性などを念頭に現場導入AIを総合評価し、決定して、工具刃先の摩耗状況の正常/異常の評価法を確立、そして、工作機自動運転化のテーマにおける機内自動計測システムの開発では、①自動計測プログラム、②計測評価プログラム、③AI判定信号受信プログラム、④工作機自動制御システムを開発することがテーマとなっています。
研究開発は実際どのように進んでいる?
切削液を放出した状態で信号の相関関係を明確化できるよう、ハイパスフィルターやローパスフィルターなど試行錯誤でトライし、切削液放出時のノイズ(クーラントノイズ)を打ち消せるよう調整出来ました。
また、量産自動化を想定し、AEセンサーをセンシングホルダーから機械のミル主軸に移設し、信号を捉えられる様に周波数分析し、無事信号検知、AIシステムにて現場実装テストが出来るまでに至りました。
機内自動計測システムの開発では、チャックを基準に高精度測定法を確立すべく、タッチプローブでの高精度測定を繰り返し実施。その再現性の測定、分析をしました。
工作機自動制御システム開発では、AE信号をAIが監視し、異常と判定したら機械のNC制御PCにそれを指示。加工を止め、測定の実施、工具交換し補正を入れ、再加工に行くという一連のサイクルを回せるようになりました。
研究開発の今後の流れは?
3年間の研究開発で辿り着きたかった工具寿命のAI判断、工作機の自動運転化がカタチとなり、サイクルを回せるようになりましたので、今後さらにAI判断精度を磨いたり、自動運転におけるエラーが生じないよう、システムの完成度を鍛える段階に入ります。
11月21日には産業技術総合研究所の方々がご視察にいらっしゃいました。
各方面から本研究開発に大きな注目を頂いております。
事業化に向け、ラストスパートになるので気合を入れて取り組んで参ります。
今後も適宜、本研究開発について情報発信していければと考えています。